好々彦の神代文化考

神話と系譜と足跡を元に”古代人の生き様”を読み解き、新しい古代史の視点を提案する。きっとあなたの古代史観が変わる!                                                              

天照大神の奉斎と大和国家の統一  

(1)神話創生と大和国家統一

 倭国の形成は早期から「製鉄文化」を導入した「紀の国」、「但馬国」、「伊賀国」、「淡海国」、「尾張国」など「倭国」の周辺諸国を「御食国」とする事から始まるが、離れた地方国は「在地豪族」「製鉄民族」などの渡来人が力をつけて強大化し、「倭王権」にとって難敵となり、併合するに苦戦を強いられた。

 そこで「倭王権」は日本列島の諸国を併合する為に全国各地に「征伐大将軍」を派遣した。八代「孝元大王」の代には山陽道将軍「吉備津彦命」として「大王」の王子「稚武彦命」「吉備国」へ派遣され、九代「開化大王」の代には東北道将軍として「大王」の弟「大彦命」「信濃国」「武蔵国」「常陸国」などの諸国に派遣され、十代「崇神大王」の代には「丹波道主命」として「開化大王」の王子「彦坐王」「彦宇斯王」親子二代に亘って「丹波国」に派遣され、十一代「垂仁大王」の代には東海道将軍として「崇神大王」の王子「建沼河別命」「東海諸国」「越国」「会津国」などに派遣された。

 十二代「景行大王」の代になって、「丹波国」、「能登国」、「吉備国」、「播磨国」、「伊予国」、「熊襲国」などが併合された。そして十四代「成務大王」の代に、殆どの国が併合された。

 『征伐大将軍を派遣した』と云う言葉の響きから、「朝廷」が大軍団を送り込んで戦闘を繰り広げ、敵軍を誅殺したり殲滅し、国盗りを成し遂げたと云うイメージが一般的にある様に思われるが、戦闘や殺戮だけが要因ではなく、「王権」が手中にした革新的技術「採鉱製錬技術」「鋳鍛冶技術」など)や製品など)やそれらを纏った武装などの出で立ちを駆使した開拓力「王権」組織力など総合的な「突破力」「征服力」が大きな脅威となったに違いない。

 様々な手段が駆使されたと考えられるが、加えて「神の力」を借りて征服すると云う手段を編み出し、国盗り(併合)が繰り広げられた事を特筆する。

 困難を伴う諸国統合、統治の一大事業には『神国思想』と云う神話を構築し、神の威光をもって諸国の支配者を従属させた。諸国を併合、統一するにあたり『神国思想』つまり『「大和国家」は天祖神「天照大神」が治める国であり、「天照大神」の末裔である「大王」が「天照大神」の神勅のもと永久に統治を行い、全ての政治は神事をもって行う』と云う思想である。「神の啓示」によって「大王家」畏敬、神格化を図った。

 天祖神「天照大神」の「御魂代」としての「神鏡」の威光をもって諸国の統治者を従属させ、従属の証として国毎に天照大御神神宮(元伊勢神宮と云われる)を建立し、「天照大神」の「御魂代」としての「神鏡」を奉斎すると同時に、大國魂神社を建立し「大国魂神」(その国を治めた統治者の祖先の霊)を奉斎させた。

 この「神話」は「孝元朝」から「崇神朝」にかけて創生され、十代「崇神大王」の代に本格的に「神話」に基ずく諸国統合が行われたと見る。「倭朝廷」が日本の諸国を統合、統治するために「崇神大王」の娘「豊鍬入姫命」の代に構築されたと考える。「大王」は併合した諸国の「元伊勢神宮」に祀られている「天照大神」の祭祀を行い、収穫の感謝や豊作祈願や収穫量の神示(お墨付き)などの務めがあるが、「御食国」増加と共に巡幸が困難になり、「大王」の代役を立てたのが「御杖代」「豊鍬入姫命」が初代「御杖代」に任命された事などから、この時期に構築されたと推測される。

 『神国思想』は「古事記」の「国生み神話」に示されている「天照大神」の御神勅を戴して創生されたものである。その大意は『高天原(天上界)を治めている天祖神「天照大神」は御子神「天忍穂耳命」に統治を任せるが、その御子の天祖「瓊瓊杵命」が葦原中国(地上界)に天降り、先に葦原中国で国造りをしていた「大国主命」が葦原中国を献上した。以降「瓊瓊杵命」の子孫たちが葦原中国を統治する様になった。「天照大神」は「鏡」を自身の「御魂代」として「瓊瓊杵命」に託した。子孫は伊勢神宮を造営して「鏡」を祭神「天照大神」として奉斎し、「天照大神」から王位を授かった者だけが統治者となることを許される』と云うものである。

 「大和国家」を併合、統一するために創出された天祖神「天照大神」は「倭国」の統治者「大王」の出自を神格化し権威づけするのに絶大なる効果をもたらした。余談になるが、「天照大神」が創出された事によって、「製鉄民族」など渡来人の「人祖神」として祀られていた「須佐之男命」は荒ぶる神として、「天照大神」の弟分に位置付けられて鬼門(忌門)に追いやられた。そのため「製鉄民族」などの渡来先住民「鬼」とされ、「鬼伝説」が生まれた。


category: (1)神話創生と大和国家統一

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